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スタジアム&アリーナ2017 ニューズレター No.3 9月号(1)

市立吹田サッカースタジアム│スタジアム&アリーナ2017公式ニューズレター
市立吹田サッカースタジアム(大阪府)

世界で唯一のスポーツ施設ビジネスイベント「スタジアム&アリーナ」とPan stadia& Arena Management Magazineがお届けする、世界各国のスタジアム&アリーナに関連するニューズレター!!
世界や日本でのスポーツ施設関連の最新情報、トピックス、9月開催の「スタジアム&アリーナ2017」関連情報も満載です。随時更新中!

■吹田スタジアムへの思い~顧客第一の視点~

私は松下電器(現在のパナソニック)に入社し、電送システムとかシステムソリューションを経て、最後は情報セキュリティ本部長として全世界の松下グループを指導する役目を担当し、ガンバ大阪社長の辞令を受けました。ガンバ大阪の社長になってすぐにわかったことは、ちゃんとしたスタジアムがないことが関西の活力をそいでいるということでした。そこで、民間の資金を集めスタジアムを建設する「スタジアム建設募金団体」をサッカー界と経済界共同でつくり公共施設として吹田市に寄付をさせていただきました。

産業界とスポーツ界を経験してわかったことは、創業者の松下幸之助の言葉、「企業は社会の公器なのだ」、「お客様の心をしっかりとらえれば成長する」、「成功するためには、お客様の心をちゃんと知りなさい」ということはどの事業でも共通している基軸だということです。ドラッカーは、顧客という新しい観点からマネジメントを長年、説いてきていますが、私はサッカー界と松下電器にいて、主役は顧客であり、顧客の創造を軸にすべてやることが成長につながる、それが成長の鍵であるということを学びました。

サッカーがなぜスポーツ界で一番人気になったのか。1989年にベルリンの壁が撤去された際の映像が衛星放送を通じて世界に流されたころ、ルパート・マードックという人はその威力に気づいて、1990年11月にBスカイBを設立し、イギリスのプレミアリーグ、アメリカのアイスホッケー、メジャーリーグの放映権(独占放送権)を獲得しました。「一般放送で無料で見られるのに、有料でスポーツを見るわけないじゃないか」という論調が多かった中で、ルパート・マードックは「スポーツの特性として、リアルタイムでなければおもしろくない。結果を知って見てはおもしろさが半減する」という考えに基づいて行動していたようです。

BスカイBの成功によって多くのお金が入ったプレミアリーグがそれをどういうふうに使ったか。まず最初に老朽化していたイギリスの各スタジアムを改良したのです。イギリスは雨が多いので屋根をつける。寒いので個別席にして暖房装置を入れる。観戦環境を構築して女性や子供が行ってもいいようなスタジアムに仕立てあげるわけです。さらに、プレミアリーグは、イギリスで開く大会の賞金を上げて、選手の年棒を上げました。それによって世界中の超一流メンバーが全部プレミアリーグに集まってプレイするのを、世界中のサッカーファンが見るわけです。

プレミアリーグの放送権を見てみると、2009年のデータでは英国を除いて1,270億円。アジアが一番多い699億円です。その当時のプロ野球の放映権は80億円くらい、Jリーグは43億円です。プレミアリーグの教訓は、スポーツ産業が成長産業として期待できるということを我々スポーツ界の人間に教えてくれました。ただし、お客様創造のあり方を重要な施策として進めることが成功の鍵となります。(金森喜久男/追手門学院大学教授)



「2020を超えてスポーツ産業拡大をいかに実現していくか」より
日本スポーツ産業学会発行 Sports & Business Management Review #3/ 2017 July

@PanStadiaArena